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受賞者インタビュー
受賞者インタビュー
第39回マーケティング大賞
ユニオンツール
会長
片山貴雄 氏
大切にしてきたのは「信頼」
「ユニオンツールじゃなきゃ駄目だというお客さまがたくさんいらっしゃるんですよ。それが何より一番ですね――」
片山貴雄会長はそうつぶやき、目を細める。
高校生の頃には、父・一郎氏が創業した会社をいずれ継ぐものと自覚していた。父の母校である東京理科大学に進み、卒業後は工作機械メーカーや工具メーカーで修行。25歳で家業に入った。
1980年代以降、パソコンの普及とともにプリント基板(PCB)向けの超硬工具の需要が急拡大した。そんな動きの激しい業界で、42歳で社長に就任。以来ずっと大切にしてきた言葉が「信頼」だ。市場規模や使用される工具の量のわりに、意外なほどプレーヤーが少ないのがPCB用超硬ドリル市場の特徴。それゆえ、出会った人たちと信頼関係を築くことを何よりも大切にしてきた。
60歳になると大平博氏に社長を任せ自らは会長に。「社長は方々を飛び回らなきゃならない仕事なので60歳くらいまで」と決めていたという。「片山家の人間が経営に携わるのは私で終わり。次の世代にスムーズに引き継ぐ」のが今後の目標だ。
経営者人生を振り返って一番うれしかったのはと尋ねると、「これといったことはないですね」と少しそっけない。「ただ、社内を含め、お客さまや代理店など、仕事を通じて出会った人たちと家族にも匹敵する信頼関係を築けたこと。それがうれしい」と続ける。
「あなたはまだ若いけど、そうした相手を人生で何人得られるか。それが本当の財産じゃないですかね」
話に聞き入って油断していたら、暖かくも鋭い一撃をくらった。
(本誌編集長 八角 秀)
- ユニオンツール
- 1955年創業、60年設立。資本金29億9850万円。歯科用超硬工具の製造からスタートし、現在はプリント基板(PCB)用超硬ドリルで世界トップクラスのシェアを誇る。従業員数は単独873人、連結1480人(2023年10月現在)